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なくてはならない送迎サービス ~その裏側で事業者が背負っているもの~

2026.08.26

福祉・学校全般

みなさま、こんにちは。ジェイアイシーセントラル福祉営業部の佐藤です。
夏休みも終わりが近づき、新学期がスタートする頃でしょうか。
私たちは仕事の特性上、特別支援学校へ訪問することも少なくありません。
時間によっては放課後等デイサービスの送迎車両が沢山待機している様子を目にしますが、最近では当たり前の光景になってきた気がします。

障害のある方にとって、送迎サービスは生活に欠かせない存在です。
移動は生活の一部というより“生活そのもの”と言っても過言ではありません。
公共交通機関の利用が難しい地域では、一人での移動が困難な方も多くいらっしゃいます。
だからといって、ご家族が毎日送迎するのは現実的ではなく、今や障害福祉における送迎サービスは『あって当たり前』の存在になっています。

厚生労働省の調査を見ても、障害児通所支援における送迎の実施状況は、『事業所単独で、送迎車両による送迎を行っている』が74.9%と7割以上が送迎を実施しており、近年では就労系サービスでもニーズが高まっており、まさに障害福祉の“標準サービス”と言える状況です。
しかし、事業者側の負担は想像以上に大きいようです。

事業者の負担や問題とは

第一に、『コスト』の問題があります。
障害福祉サービスの送迎における利用者負担は『原則無料』です
事業者への送迎に関する報酬は、利用者の自宅と事業所の間で車による送り迎えを行った場合に送迎加算として支給されます。
車両の購入・維持費、高騰するガソリン代や保険料に加え、ドライバーなどの人件費が必要です。
厚生労働省『就労系障害福祉サービスの実態調査』によると、1回の送迎に要する車両1台1月あたりの平均費用は22,068円となっています。(車両代を除く)
近年では車内への置き去り防止対策など、安全面への投資も増えています。
障害特性に応じた個別の配慮が必要なため、機械による自動化や単純な効率化も困難です。
それにもかかわらず報酬は十分とは言えず、事業内容や地域によっては送迎を増やすほど赤字が膨らむという実態もあるようです。

第二に、『運転業務のリスクと責任』です。
送迎は単に運転するだけでなく、乗車中の利用者の安全確保は最優先であり、利用者の体調急変などに対する判断を運転しながら行わなければなりません。
万が一交通事故を起こせば、背負う責任はドライバーや管理者の負担となっていることが想像されます。

そして第三に、『人手不足による支援員の業務負担』です。
ご家族と直接話せるなど支援につながる良い面もあり、送迎が“支援の一部”として扱われることも少なくありません。
運営上の合理性から支援員が送迎を兼務する体制がほぼ標準となっており、これが現場の負担増につながっています。
送迎ルートが複雑であったり、渋滞などで時間に追われたりする場面も多く、支援員には送迎を兼務することによる心理的負荷も想定されます。
また、支援員の負担を減らそうと送迎専任スタッフの採用を検討される事業者も増えていますが、朝夕の短時間勤務では担い手が集まりにくいこともあり、結果として支援員の兼務体制が続いています。

参考:厚生労働省『令和7年度障害福祉サービス等報酬改定検証調査結果』https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000178195_00009.html

利用者の生活と地域で生きる権利を守り、ご家族の負担を軽減するために、現場はギリギリの体制で送迎サービスを提供しています。
しかし、送迎は止めるわけにはいきません。
制度全体の改善を待つだけでなく、現場の負担を少しでも減らし、安全と持続可能性を確保するために、以下のような取り組みや工夫を進める事業者が増えているようです。

事業者の取り組みや工夫とは

<ICTツール・送迎管理システムの活用>
AIを活用したルート自動生成アプリや送迎管理システムを導入することで、これまで手作業で行っていた複雑なルート組や時刻表作成の時間を大幅に削減できます。
また、遅延情報などを保護者とリアルタイムで共有することで、電話対応の手間や精神的負担の軽減にも繋がります。

<外部サービスを活用した安全管理体制の強化>
『精神論』で乗り切るのではなく、仕組みで安全を担保することが重要です。
ドライブレコーダーによる可視化や定期的な安全運転講習などを導入し、ドライバーの意識向上と万が一の際のサポート体制を整えることが、職員の安心感に繋がります。
ジェイアイシーセントラルでは、職員向けの安全運転講習を行っています。
是非ご活用ください。

<送迎業務の切り分けと柔軟な雇用形態の検討>
支援員の兼務体制を維持するだけではなく、送迎専門スタッフ(短時間勤務)として近隣のシニア層をターゲットに求人を出すことで、ピンポイントな人員確保を目指す手法もあります。
短時間・高時給の設定や、業務範囲を明確にすることで、応募のハードルを下げることも可能です。

送迎サービスは、決して事業者の『善意』や『優しさ』だけで維持できるものではありません。
障害福祉における送迎サービスは『あって当たり前』の存在を維持していくために、この現実を社会全体が直視し、実態に即した制度改善へ繋げていくことこそが、持続可能な支援の第一歩となるのではないでしょうか。

 

執筆者プロフィール

福祉営業部 さとう たつや
福祉関係者の皆様、いつも本当にありがとうございます。

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