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今求められる障害福祉とは
2024.08.28
福祉・学校全般
皆様、こんにちは。
JICセントラル福祉営業部の佐藤です。
今回の題名、少しスケールの大きな話になってしまいますが、私たち福祉営業部の社員が日頃感じている障害福祉についてお話ししてみたいと思います。
私たちJICセントラルは創業時より、知的に障がいがある当事者本人そのご家族はもちろん、福祉専門家である特別支援学校や障害福祉サービスの事業者、そして団体の皆様と保険制度を通じて長いお付き合いをさせていただいております。
「当事者とそのご家族」と「支援をする方々」双方が大切なお客様
当社では毎年2回(7月と12月)障がいがある方の保護者様向けに「JICセミナー」を開催、好評をいただいております。
その企画・運営のために若手中堅社員で組織された“セミナーチーム”が社内にあり、保護者の皆様の関心事をアンケート等で探り、テーマを決めます。
次にテーマに沿ったその分野の専門家や講師の先生を“お取引のある法人や団体様から探す“ことになります。
ここがなかなか難しく、毎回工夫や苦労が絶えないわけですが(笑)
「当事者とそのご家族」が求めるものを見つけて「支援をする方々」に解決をお願いする。
大切なお客様それぞれを橋渡しして繋ぐご支援ができてきているのではと自負しております。
※当コラムをご覧の皆様の参加をお待ちしております。
保護者の皆様の関心事「グループホーム」
そのJICセミナーアンケートで保護者の皆様の関心が高いキーワードに「グループホーム」があります。
障がいのある方の保護者の皆様にとって切実なのが「親亡き後」の問題。
知的に障がいがある方は、親と同居している割合が6割というデータもあり、親の高齢化に伴って自宅での生活が困難になるおそれがあるとされています。
残されたわが子を親に代わって支えてくれる場を探していらっしゃいます。
そのような問題解消のため、親亡き後も地域の人に見守られながら少人数で共同生活を送る場所として「グループホーム」へのニーズが高まっています。
同時に、国の政策として知的に障がいがある方等が従来の施設を出てグループホーム等で過ごす「地域移行」を本格化させました。
共同生活援助事業(グループホーム)が平成18年度に障害者自立支援法のサービスとして位置づけられて以降、入所施設等からの地域移行を推進してきた結果、直近の統計データは以下の通りです。
共同生活援助事業所数 12,281件( 8,087件)
共同生活援助事業利用者数 157,829人(113,744人)
参考:令和4年社会福祉施設等調査の概況|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
※カッコ内:平成29年社会福祉施設等調査の概況|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
調査データを比較すると5年間で事業所数がおよそ4千件、利用者数が4万人増えたことになります。
将来に目を向けますと、第7期障害福祉計画(令和6~8年)には施設入所者数の6%以上をグループホーム等へ地域移行すると目標設定されており、一層の地域移行が進むものと考えられます。
以上のことから、障がいのある方の保護者の関心事やニーズに対して、専門家や障害者サービス事業所の方々の努力によって積極的に推進・実現された結果でもあります。
反面、事業所と利用者が一気に増えたことによる‘副作用‘も散見されることとなりました。
グループホームを増やそうとしても世話人など福祉人材が不足しており、ニーズを満たせるだけの支援体制を準備することが難しいと聞きます。
さらには経営を重視した体質の事業者が参入し収益を優先した結果、経験や知識のないスタッフが増加し、対応の難しい重度の障がい者支援に手が回らず、不適切なケアや虐待が発生。
ついには報酬の不正請求も発覚して社会問題化しています。
利用者の声が上がりにくい環境や他に行き場がないことから、多少のことには目をつむらざるを得ない現実があることが推測でき、残念ながら被害を受けることとなってしまった当事者やそのご家族の無念さを思うと、やるせない思いでいっぱいになります。
その結果、施設に対する信頼が大きく損なわれ、健全な運営をしている他の施設や福祉サービスへの信頼低下は福祉人材への悪影響・悪循環となってしまう恐れがあります。
以前にグループホームに関するセミナーでお話し頂いた講師の方が仰っていた言葉を思い出しました。
「安心して楽しく暮らせる事が第一」
「ホームでの暮らしは、いかに長い期間を掛けて、落ち着いた生活を送れる様になる事が重要」
今求められる障害福祉を現実にしていくことに前途多難だと感じる昨今、支援者による努力と多くの時間も必要となります。
「当事者とそのご家族」と「支援をする方々」双方が信頼し合い、安心できる障害福祉の好循環へ向かっていくことを願いながら、私たちJICセントラルも自らを磨き、微力でも皆様へのご支援ができればと思っております。
執筆者プロフィール
福祉営業部 さとう たつや
福祉関係者の皆様、いつも本当にありがとうございます。