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インクルーシブ教育

2023.07.26

福祉・学校全般

みなさんは『インクルーシブ教育』という言葉を聞かれたことはありますか?

インクルーシブ教育とは

1994年のユネスコ国際会議で提唱され、広く世界に認知されるようになったもので、『子どもたちの多様性(国籍、人種、言語、性差、経済状況、宗教、障害)を尊重し、障害のあるなしにかかわらず、すべての子どもが共に学び合う教育』のことを言います。
近年ではSDGs(持続可能な開発)4の目標『質の高い教育をみんなに』の取組の一つとして重要視されています。

参考HP:日本ユニセフ協会 質の高い教育をみんなに/SDGs
https://www.unicef.or.jp/kodomo/sdgs/17goals/4-education/(2023年5月19日)

文部科学省『共生社会の形成に向けて』の報告によると、障害のある子どもが、地域社会の一員として豊かに生きることができるよう、『地域の同世代の子どもや人々の交流等を通して、地域での生活基盤を形成することが求められている。このため、可能な限り共に学ぶことができるよう配慮することが重要である。』と書かれています。
インクルーシブ教育が共生社会(インクルーシブ社会)の実現に向けて、大変重要な位置付けであることが分かります。

参考HP:文部科学省 特別支援教育の在り方に関する特別委員会報告1「共生社会の形成に向けて」
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/siryo/attach/1325884.htm (2023年7月25日)

石川県のインクルーシブ教育の取組み

私が在籍する北陸長野支店がある石川県で、全国的にみても大変めずらしいインクルーシブ教育の取組みが発表されましたのでご紹介します。

対象となる県立高校敷地内に特別支援学校(知的)高等部の校舎を建設し、両校の校舎が渡り廊下で繋がれます。また、両校ほぼ同数の生徒が学習や交流を通じて日常的に触れ合うことは全国にも例がないようです。
県立高校の校長先生がホームページのご挨拶で書かれていますが、『障害がある仲間と一緒に学び』『友として繋がる』この言葉が両校のインクルーシブ教育そのものを表しています。

このインクルーシブ教育の効果として以下の事が期待されるのではないでしょうか。

○県立高校の生徒は日常的に支援学校の生徒と一緒に過ごすことで障害者への接し方が感覚として身に付く。そして共生社会への理解が自然に深まる。

○支援学校の生徒は県立高校の生徒と共に学ぶ機会を得ることから、自己の能力を伸ばし、自己の可能性にチェレンジすることができる。そして県立高校の仲間との触れ合いにより共生社会への準備ができ、学校卒業後の社会に戸惑うことが少なくなる。

同じ場所で同じ時間を過ごす生徒同士がどのような関係性を築くのかとても楽しみです。
この県立高校と特別支援学校のプランについては具体的な内容はまだ公にはされていません。
しかし私はもう少し具体的な内容をお聞きする機会があり、それを聞いたときは大変驚きました。
そのようなプランが本当に実現できるのだろうか?というのが最初に聞いた時の感想です。
とても高いハードルを乗り越えて、令和7年に両校のインクルーシブ教育がスタートします。

障害者権利条約と日本の特別支援教育

障害者権利条約は、

『私たちのことを私たち抜きに決めないで』

この合言葉に、『障害のある人たちが差別を受けることなく好きな場所で暮らし、学んだり働いたりできる権利の保障』を目的として作られました。

この条約は2006年に国連で採択され、日本は2014年に締結しました。
現在、この条約を締結している国は185カ国あります。

参考HP:内閣府 障害者権利条約 
https://www8.cao.go.jp/shougai/un/kenri_jouyaku.html(2023年7月25日)

 昨年8月、日本が障害者権利条約を締結してから初めての国連の審査が行われました。
翌9月には、日本政府に対して障害者政策への勧告が出されました。

国連からの勧告は主に下記の二点です。

1.自立した生活および地域生活への包容
○障害者施設の地域移行が停滞しており、障害児者が地域で暮らす権利が保障されていない事の指摘
○自由を奪う、精神科への強制入院に関わる法令の廃止を求めた

2.教育
○『通常』の学級で学べない子がいることを問題視
○分離された特別支援教育の中止を求めた
○学校の選択は本人や保護者の意向を最大限に尊重すること

上記勧告『2.教育』について、文部科学省では『多様な学びの場で行われている、特別支援教育の中止は考えていない。勧告の内容を踏まえてインクルーシブシステムの推進に努めたい。』と回答しています。

参考HP:NHK ハートネット『国連勧告で問われる障害者施策』
https://www.nhk.or.jp/heart-net/article/723/(2023年7月25日)

日本の特別支援教育の現場では今までも生徒の特性に合った手厚い支援教育がされており、保護者も安心して学校に通わせることができていると思いますが、特別支援学校や支援学級自体が分離教育と呼ばれ、国連の指摘の対象となっています。
長年に渡り培われてきた特別支援教育の『分けて手厚い』から『分けなくても手厚い』教育を実現するには、日本の教育制度ごと改革しなければいけないようです。
国連の次の審査は2028年です。
今回の勧告で、障害がある方・支援が必要な方たちの生活がどこまで向上するのか見守りたいと思います。

ジェイアイシーセントラルでは、特別支援学校の生徒様専用の保険を取り扱っております。
お子様のおケガや物損など、ご心配事がございましたら是非ご相談ください。
また特別支援学校に通われていない方でも、支援が必要な方に向けての保険をご用意しておりますので、お気軽にご相談ください。

 

執筆者プロフィール 

北陸長野支店 福祉営業部 カサモト アサミ 
家の庭に花や実がなり、蜂が飛んでいます。
蜂を見るたび、離れて暮らす次女の笑顔が浮かびます。
3年前に蜂に刺されて騒いでいる私に、普段はおとなしい次女が『ママって本当に面白いね!』と大喜びで言ったことは一生忘れません。

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